福岡県春日市でアメリカカンザイシロアリの被害調査を行わせていただきました。30年以上シロアリ駆除業に携わっていますが、今回が初めての自社によるアメリカカンザイシロアリ被害調査となりました。
取引のある住宅リフォーム会社様より依頼があり、福岡県春日市のお宅様で、柱の横に乾いた砂粒状のものが掃除をしても落ちてくるとお客様より相談があったので対応して欲しいというご要望を受けシロアリ被害調査にお邪魔致しました。
お伺いしたお客様のお話によると、木のくずみたいなものは掃除をしてもまた同じ場所に落ちているのでもしかしたらシロアリではないだろうかと心配になった、というご相談内容でした。
本日は福岡県春日市にて見つけた「アメリカカンザイシロアリ」について少しお話させていただきます。
目次
玄関に落ちていたアメリカカンザイシロアリの砂粒状の糞
ズームで寄ると
乾いた粒状のものがたくさんあります。更にズームアップすると
米粒状の中央には細い線状のくぼみが入っています。
アメリカカンザイシロアリと他のシロアリの違い
福岡県内で、シロアリ駆除業者の私どもがシロアリの生息や被害箇所を確認することがあるのが、ヤマトシロアリ、イエシロアリがほとんどです。
そのヤマトシロアリの亜種として、似て非なる種類として、山口県の下関市と福岡県北九州市の門司区や小倉北区周辺で生息が認められるカンモンシロアリです。
ヤマトシロアリ
日本全国で見られることの多いシロアリ。被害は主に床下で見受けられる。ハネアリは4月中旬頃より5月初めの昼間に出て、ハネアリの体色は淡黒色。
イエシロアリ
千葉県より以西の温暖な地域に見られるシロアリ。被害は床下に限らず壁や小屋裏等の建物全体に及ぶ。福岡県内では、福岡市や北九州市でもマンション等で被害や生息が見られることもある。
ハネアリは6月中旬から7月初めの夕方から夜にかけて、電気の灯りを目がけて飛び出す。ハネアリの体色は淡褐色。
カンモンシロアリ
山口県下関市と福岡県北九州市の門司区や小倉北区周辺に限って見られるシロアリ。ヤマトシロアリと似ているが、ヤマトシロアリが床下の湿気を多い場所で加害するのに対して、小屋裏に被害を及ぼすこともある。
ハネアリは早いものは2月中旬より出ることがあるが、3月中旬の昼間が多い。ハネアリの体色はヤマトシロアリよりもさらにうすい淡黒色。
アメリカカンザイシロアリ
※外来種のシロアリで、アメリカのワシントン州からメキシコのカリフォルニア半島を原産とする乾材害虫である。日本へは家具や荷造り材などと共に持ち込まれて屋内の乾材に広がり家を建て直すほどの被害を与えている。
加害部が巣となり、特別の巣や蟻道を加工せず、乾材や野外の乾燥した枯れ枝の中に孔道を作って小集団で生活している。
ハネアリは3月~11月の昼間に小規模で数回飛び立ち、電気の灯りには集まらない。体色は濃赤褐色頭部は赤褐色、羽は黒味を帯びている。
※公益社団法人日本しろあり対策協会の2011年版「しろあり及び腐朽防除施工の基礎知識」より引用
アメリカカンザイシロアリの被害を見つけるには
福岡県内に生息している、ヤマトシロアリやイエシロアリ、カンモンシロアリと違って、自分たちが巣の中を行き来する蟻道や蟻土を加工しないので今回の春日市の例の様に被害が進行したあとで見つかることがほとんどです。
乾燥した糞を見つける。これが、アメリカカンザイシロアリの発見方法となります。1ミリ程度の乾燥した砂粒状の糞をたくさん見つけたらそれがアメリカカンザイシロアリの糞となります。
アメリカカンザイシロアリの乾燥した砂粒状の糞を拡大鏡で見て見ると、粒状の糞の真ん中にくぼみの線が入っているのも特徴です。
アメリカカンザイシロアリの駆除方法
残念ながら私どもの会社では、今回初めてアメリカカンザイシロアリの被害を見つけました。
よって、これまでのようなヤマトシロアリ・イエシロアリ・カンモンシロアリ等のように十分な駆除技術があるというわけではありません。
薬剤会社や薬剤取り扱いの代理店主催の、研修会やセミナーでこれまで知識として知っていることをもとにシロアリ駆除対応していくようになります。
本来アメリカで行われていた駆除方法としては、1軒の家をまるごとシートで覆って燻煙処理を行う駆除方法が有名で、そうした駆除方法がベストかと思われます。
但し、費用対効果という点で多少の再発生を認めつつ駆除作業を行うことになります。
- 可能な範囲で表面の吹付処理を行う。
- 今回出現したような、砂粒状の乾いた糞を見つけていきながら、被害部を追う。
- 脱糞孔といって、木材部の小さい穴を見つけていく。
等での対応を行っていくようになります。